基礎知識
製缶板金品に求められる塗装のポイント
製缶板金加工品に塗装が必要な理由
製缶板金加工によって製作された製品は、金属本来の特性から、そのままの状態では様々なリスクを抱えています。製品の性能を最大限に引き出し、長期にわたってご使用いただくためには、適切な塗装が不可欠です。塗装は単なる色付けではなく、製品の価値と寿命を大きく左右する重要な工程です。
株式会社アガツマでは、製缶板金加工品の一貫対応として、設計から加工、そして塗装までを一貫して行うことで、お客様に以下の価値をご提供しています。
1. 防錆・防食による長期的な保護
金属は水分や酸素に触れると酸化し、錆が発生します。特に屋外や湿気の多い環境で使用される製品の場合、このリスクは無視できません。当社では、お客様の製品が使用される環境を考慮し、最適な塗料を選定します。塗装によって金属表面に強固な塗膜を形成することで、外部環境から金属を保護し、錆の発生を効果的に抑制します。
2. 耐久性の向上による製品寿命の延長
塗装は、製品の表面に耐摩耗性や耐衝撃性といった物理的な強度を付与します。運搬時や使用時に発生する小さな傷や擦れから製品を守り、美観と機能性を維持します。特に、当社の得意とする焼付塗装は、塗膜の硬度、密着性、耐久性が格段に向上するため、過酷な使用環境にも耐えうる製品を製造できます。
3. 美観と識別性の向上による付加価値の創出
塗装による色付けは製品の外観を向上させます。また、用途や種類ごとに色分けすることで、製品の識別性を高めることも可能です。例えば、工場内の配管や機械部品を色で分類することで、作業効率や安全性の向上にも貢献します。他にも、安全柵や防護柵に黒と黄色の警戒色塗装をすることで色による警戒を促すことができます。
これらの理由から、製缶板金加工品において塗装は、製品の性能を保証し、付加価値を高めるための必須工程です。
製缶板金品の塗装で重要な「3つのポイント」
製缶板金品に求められる塗装は、単に色を塗るだけではありません。製品の性能と寿命を決定づける重要な要素として、特に以下の3つのポイントが重要となります。
塗膜の強度と耐久性
製缶板金品は、装置やプラントの一部として、常に屋外や水に触れるなどの厳しい環境に晒されることが少なくありません。このような場合、衝撃や摩擦、薬品などに耐えうる強靭な塗膜が不可欠です。自然乾燥の塗料では、塗膜が十分に硬化せず、摩耗や剥離のリスクが高まります。一方、焼付塗装は高温で塗料を化学的に硬化させるため、強固で傷つきにくい塗膜を形成し、製品の耐久性を飛躍的に向上させます。これにより、頻繁なメンテナンスや塗り直しが不要となり、長期的なコスト削減に繋がります。
優れた防錆効果
金属製品にとって、錆は最大の天敵です。特に、製缶品は溶接部分や複雑な形状が多く、錆が発生しやすい箇所が点在します。焼付塗装は、金属表面に強固に密着し、水分や酸素を遮断するバリア機能が非常に優れています。下地処理を丁寧に行い、塗膜を均一に形成することで、溶接箇所を含む製品全体を錆から効果的に保護します。プラントや屋外で使用される製品の場合、この防錆効果の有無が、製品の寿命を大きく左右します。
美しい外観品質と仕上がり
塗装は、製品の性能を担保するだけでなく、その「顔」となる外観品質を決定づける要素でもあります。ムラやホコリ、塗料の垂れがない、滑らかで均一な塗膜は、製品の精密さや信頼性を印象付けます。焼付塗装は、密閉された乾燥炉内で一気に硬化させるため、ホコリの付着が少なく、非常に美しい光沢のある仕上がりを実現します。これは、顧客に対する企業イメージの向上にも繋がり、製品の付加価値を高める重要なポイントです。
課題を解決!製缶板金加工と塗装を一貫対応する当社の強み
設計・製缶板金加工から塗装までの一貫対応
当社最大の強みは、製缶板金加工と塗装を自社で一貫して行う体制です。これにより、各工程で発生しうる課題を事前に洗い出し、解決策を講じることが可能です。例えば、塗装工程での不具合を防ぐために、設計段階から塗料の乗りやすい形状を提案したり、歪みを考慮した製缶加工を行ったりします。外注では困難な、工程間の密な連携によって、最終製品の品質を飛躍的に高めることができます。お客様は、複数の業者とやり取りする手間から解放され、コスト削減と納期短縮、そして何よりも安心して製品の製作を任せることができます。
用途・使用環境に合わせた塗装仕様のご提案が可能
製缶板金品は、設置される環境や用途によって求められる性能が大きく異なります。屋外で使用される場合は高い耐候性や防錆性が、薬品を扱う環境では耐薬品性が重要です。当社は、長年の経験から、お客様の製品がどのような環境で使用されるかを詳細にヒアリングし、最適な塗装仕様をご提案します。単に塗料を塗るだけでなく、下地処理から塗料の種類(メラミン、アクリル、フッ素など)、そして塗膜の厚さに至るまで、製品の性能を最大限に引き出すための最適なプランを専門家としてご提案します。これにより、お客様は不必要なコストを抑えつつ、製品の長寿命化を実現できます。
焼付塗装が可能な3mクラスの乾燥炉を保有
多くの塗装業者では対応が難しい、3mを超えるような大型の製缶品。当社は、近隣地域でも有数の希少な大型乾燥炉(2m×2m×3m)を保有しています。この設備があることで、大型の製品でも分割することなく、一気に焼付塗装を行うことが可能です。これにより、分割による塗装の継ぎ目や品質のばらつきを防ぎ、均一で美しい仕上がりを実現します。また、分割輸送や複数回にわたる工程が不要になるため、お客様の輸送コストと管理工数を大幅に削減し、納期短縮にも貢献します。
塗装まで一貫対応した製品事例のご紹介
警戒色塗装 防護柵

鉄塔に設置するための警戒色塗装を施した防護柵です。
黄色と黒の縞模様は、遠くからでも視認性が高く、注意喚起を促します。これにより、車両が危険区域を容易に認識し、接触事故のリスクを低減します。
設置個所に合わせて、2種の形状で作成をしています。塗装は、全体に黄色の塗装を行った後、マスキングを行い、黒色の塗装を行っています。
海洋向け取水口 スクリーン

海洋に沈めて、取水口に塵芥が入らないようにガードするためのスクリーンです。チャンネル・アングルを骨組みに、ステンレス製ネットを取り付ける形で製造をしております。
海水に対応するため、酸化防止対策として、電解仕上げ、SUS304に海洋向けの塗装を厚く塗る仕上げを行っております。
モーターカバー

ゴルフ場のバンカーの砂をかき混ぜて、混入した石や草木をふるいにかけて取り除く機械の動力となるモーターのカバーです(写真黄色)。
架台部品

本製品は、水や洗剤を使用する場面に特化した架台に使用される部品です。材質はSS400で、意匠性と耐久性に優れた青色の焼付塗装が施されています。青色の焼付塗装により、製品に高い意匠性を付与しています。また、焼付塗装による強固な塗膜が、水や洗剤の浸食から部品を保護し、長期にわたる耐久性を実現します。
遮熱用パネル

工場の作業環境改善に向け、建物の天井や外壁を覆う遮熱パネルの製作をご依頼いただきました。本製品は、内部に断熱材を内蔵することで高い遮熱効果を発揮し、工場内の温度上昇を抑制することを目的としています。特に、外壁にも設置されるため、単なる遮熱効果だけでなく、優れた耐久性、防錆性、そして外観品質が求められる案件でした。
お客様のご要望に応じ、製作いたしました。特に屋外使用の過酷な環境を考慮し、焼付塗装を施すことで優れ耐候性、防錆性、そして高品質な外観を実現しております。。
製缶加工・塗装のことなら、千葉・房総 製缶板金加工.comにお任せください
本コラムでは、製缶板金品に求められる塗装のポイントついて解説しました。製缶加工と塗装を別々の業者に発注することは、コスト増や管理工数の増加、そして品質のばらつきといったリスクを伴います。
私たち株式会社アガツマは、3mクラスの大型製缶品に対応可能な塗装設備と、設計から焼付塗装までを一貫して行う体制を構築しています。これにより、お客様は輸送コストと管理工数を削減し、納期を短縮できます。何よりも、一貫対応ならではの密な連携により、製品の品質を飛躍的に向上させることができます。
製缶加工・塗装でお困りの際は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。