基礎知識
製缶板金加工とは?基礎知識と当社の製作実績をご紹介!
本稿では、ものづくりにおける重要な技術の一つである「製缶板金加工」について、製缶板金加工を行っている株式会社アガツマが、概要から板金加工との違い、特徴、そして具体的な用途までを丁寧に解説いたします。
製缶板金加工とは
製缶板金加工とは、主に鉄、ステンレス鋼、アルミといった金属板を素材とし、切断、曲げ、溶接などの加工技術を駆使して、容器状、骨組み状の製缶品やパイプ材・アングル材も使用した立体的な構造物を創り出す加工技術です。より複雑な形状を実現するために、機械加工が併用されることもあり、広義の板金加工とは区別される場合がございます。この技術は、完成した製品に高い強度と耐久性が求められる様々な産業分野において、不可欠な役割を果たしています。
>>大型製缶加工品の設計・製造のポイント
製缶加工と板金加工の違い
一般的に、数ミリメートルから十数ミリメートル程度の比較的厚い板材を扱う加工を「製缶加工(または製缶板金加工)」と呼び、それよりも薄い板材を扱う加工を「板金加工」と区別することが多く見られます。ただし、何ミリメートル以上が製缶板金加工であるという明確な業界統一基準は存在せず、各メーカーや加工業者によってその線引きは異なります。例えば、薄板を専門とする板金加工業者様では1.5mmあるいは2.0mm以下の板厚を主体とする一方、厚板を専門とする製缶加工業者様では3.0mm以上の板厚を主要な対象とする傾向があります。
この板厚の差異は、用いられる加工方法や、加工における注意点にも影響を及ぼします。一般的に、製缶加工で扱われる板材は厚いため、完成する製品は大型化し、より高い強度を持つ傾向があります。
製缶加工の特徴と用途
製缶加工は、主に比較的厚い板材(一般的に7mm以上を目安とされます)を使用し、卓越した強度と耐久性が要求される大型の製品を製造するのに適した技術です。立体的な構造物や強固な骨組みを製作する上でその真価を発揮し、溶接技術によって部品同士を強固に接合することで、複雑かつ自由度の高い形状を実現します。
その主な用途は多岐にわたり、生産設備や検査装置を安定的に設置するための大型架台やフレーム、各種プラント設備、社会インフラを支える橋梁、船舶の構造部材、大型工作機械のフレーム、産業用ダクト、燃料などを貯蔵するガソリンタンク、作業者の安全を確保する工作機械カバー、液体や気体を貯蔵・運搬するタンクなど、様々な産業分野における基幹となる大型製品が挙げられます。
板金加工の特徴と用途
一方、板金加工は、比較的薄い金属板(数ミリメートル以下)を主に使用する加工技術です。金属板を主な素材として、切断、曲げ、溶接などの加工を施します。製缶加工と比較すると、より薄い材料を取り扱い、筐体や各種ラックなど、比較的小型の製品や機器のカバー類に多く用いられます。
具体的な製品例としては、情報通信機器の筐体、電子機器を収納するラック、自動車の車体の一部、工作機械の安全カバー、部品や製品を収納する箱材、各種機械装置の筐体、搬送機械のベルトカバー、空調設備などに用いられる産業用ダクトなどが挙げられます。
製缶板金加工の主な工程を解説
製缶板金加工は、主に以下の重要な工程を経て、金属板、パイプ材、アングル材などを製品へと形を変えていきます。
①図面作成・設計
②切断加工
③曲げ加工
④溶接
⑤表面処理・塗装
以下に、各工程の詳細についてご説明いたします。
①図面作成・設計
製品の設計は、その後の製造工程、性能、品質、コスト、そして納期を左右する極めて重要な最初の段階です。特に製缶板金加工で扱う製品は、大型の構造物であることが多いため、設計においては以下の点に細心の注意を払う必要があります。
・荷重と強度
製品自体の重量、積載物、外部から加わる力に対し、十分な強度を持つ設計が求められます。特に、大型構造物やプラント設備においては、地震や風などの自然災害に対する耐性確保が不可欠です。
・使用環境に応じた材料選定
高温、低温、腐食性雰囲気など、製品が使用される環境条件を考慮し、適切な材料を選定する必要があります。不適切な材料選定は、早期の劣化や破損に繋がる可能性があります。
設計の効率化と精度向上には、CAD/CAMをはじめとする設計ツールが積極的に活用されます。複雑な形状や大型製品の設計には、3D CADが特に有効です。また、工場での製作工程だけでなく、完成品の輸送方法や設置場所の状況も事前に考慮した設計が重要です。製品のサイズや重量によっては、輸送経路や設置場所に制約が生じる場合があり、輸送コストも設計段階で意識する必要があります。
②切断加工
設計図面に基づき、金属板を後工程で必要な部品形状へと正確に切り出す加工です。製缶加工で扱う厚板の切断には、板金加工で使用される機械よりも高い加工能力を持つ設備が求められます。近年では、板厚による影響を受けにくいファイバーレーザー加工機なども広く活用されています。その他、シャーリングマシンやバンドソーなどが用いられることもあります。
③曲げ加工
切断・抜き加工を経た板材を、プレスブレーキやベンダーと呼ばれる専用の機械を用いて、設計された立体的な形状へと成形する工程です。金型(ダイとパンチ)を用いて板材を挟み込み、圧力を加えることで所望の角度に曲げ加工を行います。多様な金型を交換することで、複雑な曲げ形状にも対応可能です。
パイプのような筒状の形状を製作する場合には、ベンディングロール機(ロールベンダー)が用いられます。
④溶接
成形された各部材を接合し、最終的な立体構造物へと組み上げる、製缶板金加工において最も重要な工程の一つです。溶接技術によって製品の強度を高め、設計に基づいた自由度の高い形状を実現します。
溶接には多種多様な方法があり、材質や製品の用途、要求される強度などに応じて最適な方法が選択されます。製缶板金加工においては、主にTIG溶接をはじめとするアーク溶接が多用されます。TIG溶接はアークが安定しており、細部の精密な溶接に適しています。特に大型製品の溶接においては、溶接による歪みを最小限に抑える高度な技術と経験が不可欠です。溶接歪みが大きいと、製品の寸法精度が低下したり、後工程での組み立てに支障をきたしたりする可能性があります
溶接は複雑な形状を可能にする一方で、熱影響による歪みが発生しやすいという特性があります。そのため、設計段階での溶接箇所の考慮や、溶接前の適切な前処理によって作業性を向上させることが重要です。また、溶接箇所を可能な限り少なくすることは、コスト削減にも繋がります。
⑤表面処理・塗装
組み立てられた製品の表面を仕上げる工程です。研磨加工によって表面を滑らかにし、塗装やメッキなどの表面処理を施すことで、耐食性、導電性、耐熱性といった特性を製品に付与します。また、製品の外観品質を高めるという重要な目的も担っています
大型製品の場合、大型の塗装ブースや乾燥炉を完備した工場であれば、表面処理・塗装までを自社内で一貫して対応することが可能です。なお、ステンレス鋼のような耐食性に優れた材料の場合、表面処理加工を省略することもあります。
当社の製缶板金加工の特徴とは
短納期を実現するワンストップ対応
当社では、お客様からの緊急性の高いご要望にも最大限お応えすべく、最短で「当日電話発注 → 当日製作 → 翌日納品(千葉県内)」という短納期対応を実現しております。
この迅速な対応を可能としているのは、設計・製缶板金加工・溶接・塗装・組立・発送までの全工程を自社内で一貫して行う体制にあります。
一般的に複数の協力会社を介する場合、調整や手配の煩雑さ、工程間のタイムロスが発生します。当社ではそれらを排除し、工程間の連携を最適化することで、劇的な納期短縮を実現しております。加えて、お客様の詳細な仕様・要件を製造現場へダイレクトに伝達することで、迅速かつ確実な設計・製作が可能です。
また、特注仕様への柔軟な対応力も、短納期対応を支える重要な強みの一つです。単品のご注文や試作品の製作においても、長年の経験と蓄積された技術ノウハウを活かし、スピーディーかつ高品質にご対応いたします。
月1000種類以上の多品種少量生産
当社では、月1000種類以上の多品種少量生産に対応することで、少量からでも迅速な製品提供を実現しています。製品の種類や数量に柔軟に対応できる生産体制を整え、お客様の細かなニーズにも対応できるのが強みです。多品種少量のメリットを活かし、試作やプロトタイプ製作も含めた多様な製品を納品しており、安定供給と高品質を保ちながら、お客様に信頼いただける対応をお約束します。
漫画絵・ポンチ絵からの設計サポート対応
当社では、お客様からいただいた漫画絵やポンチ絵といったラフスケッチから、製品設計を行うことが可能です。電気屋やメーカーからの依頼に多いこうしたラフ段階の図面も、3D CADを用いて精密な製品図に仕上げ、実現可能な形へと最適化して提案いたします。アイデアを形にするプロセスにおいても、お客様と密に連携し、初期段階からの具体的な設計サポートで高い信頼をいただいています
当社の大型製缶板金の製品事例
海洋向け取水口 スクリーン

海洋に沈めて、取水口に塵芥が入らないようにガードするためのスクリーンです。チャンネル・アングルを骨組みに、ステンレス製ネットを取り付ける形で製造をしております。
海水に対応するため、酸化防止対策として、電解仕上げ、SUS304に海洋向けの塗装を厚く塗る仕上げを行っております。
モーターカバー

モーターカバーです。白色に塗装しメンテナンス用の取っ手を取り付けたうえで、組立はお客様の方で対応されるとのことでしたので、各部品を納品いたしました。組立・メンテナンスの際に怪我が無いように面取りを行うとともに、位置ズレが生じないよう注意しています。
テーブル足

デザイナーの方よりご相談いただき、無垢材のテーブル天板を支持する脚を製作しました。意匠性向上のため、各部品の寸法・形状を少しずつ変えて製作しております。
本事例のように、当社では漫画絵やポンチ絵から図面設計が可能です。設計の際にはヒアリングも行い、お客様の課題解決、ご要望に応えるために積極的に提案をさせていただきます。
構想段階のラフ図でも構いませんので、お気軽にご相談ください。
製缶板金加工は千葉・房総 製缶板金加工.comにおまかせください。
いかがでしたでしょうか。
千葉・房総 製缶板金加工.comは、2~4mの厚中板製缶板金製品の設計から製缶板金・プレス加工、溶接組立、塗装までワンストップ対応する、
大型製缶板金加工や設計に関する技術情報をご紹介する、専門技術サイトです。千葉・房総 製缶板金加工.comは、様々な業界向への納入実績が豊富で、信頼と実績を積み重ねてきました。
ポンチ絵や漫画絵からのご相談も問題ございませんので、お気軽にお問い合わせください。