基礎知識

製缶板金加工

水回り・高湿度環境向け装置フレームの防錆対策

洗浄装置や除湿装置をはじめ、水や蒸気を扱う現場で使用される装置・機械において、「サビ(腐食)」への対策は必須の課題です。
本コラムでは水回り・高湿度環境向けなどのサビに敏感な環境下で使用される装置を扱う皆様へ向けて、
装置フレーム(機械フレーム)における防錆対策の重要性と、
板金加工から塗装までを一貫して行うことで得られる圧倒的な品質向上のポイントについて解説します。

装置・機械における「フレーム」の役割と重要性

装置フレーム・機械フレームは、人間で例えるなら「骨格」にあたる重要な部品です。モーターやポンプ、配管、制御盤など、
あらゆる構成部品を支え、稼働時の振動や荷重に耐える強度と精度が求められます。
特に洗浄装置・除湿装置が設置される工場や現場は、常に「高湿度」や「蒸気」にさらされる過酷な環境です。
たとえ水に直接触れない位置にある装置フレームであっても、空気中の蒸気によって「サビ」は確実に発生し進行します。
フレームの腐食は、装置全体の精度低下や異音、最悪の場合はフレームの破損による重大な事故を引き起こし、製品寿命を大きく縮めかねません。

洗浄装置・除湿装置フレーム製作における「よくある失敗・課題」

ステンレスの大型製缶において、設計者や製造者が最も苦慮するのが溶接時の「歪み」です 。
溶接は金属を局所的に数千℃の高温で溶融させるため、加熱と冷却の装置フレームを外部の加工業者に依頼し、
その後別の業者に塗装を依頼するといった分業体制では、以下のような課題が発生しやすくなります。

課題①:微小な隙間から侵入する「湿気」による内部腐食 

溶接のわずかな隙間やピンホールから高湿度の空気が侵入し、塗装の内側からサビが進行してしまうケースです。

課題②:サビ発生時の「責任分解点の曖昧さ」

 万が一早期にサビが発生した場合、「溶接(下地)が悪かったからだ」「いや、塗装の膜厚が足りなかったからだ」と、加工業者と塗装業者の間で責任の所在が曖昧になることが多々あります。

課題③:業界特有の「シビアな防錆基準」をイチから説明する手間 

洗浄装置や除湿装置が置かれる環境の過酷さは、一般的な板金業者や塗装業者には伝わりにくいものです。毎回、防錆の重要性や仕様を細かく説明する手間がかかります。

課題④:複雑な立体形状の塗装における「塗り残し」や「タレ」

 装置フレームは複雑な立体形状を持つため、スプレー塗装時に死角ができやすく、塗り残しや塗料のタレが発生します。そこが弱点となり、サビが進行する原因となります。

失敗しない防錆対策のポイント

前述したような「分業による連携不足」や「構造上の弱点」から発生するサビを防ぐためには、工程ごとの部分的な対策ではなく、全体を見通した根本的なアプローチが必要です。一般論として、以下の3つのポイントを押さえることが防錆対策に繋がります。

①加工から塗装までの「一貫対応」による責任と品質の統合

サビ発生時の責任の所在が曖昧になる問題や、シビアな防錆基準を何度も説明する手間は、加工と塗装を別々の業者に依頼する「分業体制」が根本的な原因です。これを設計・加工から塗装まで一つの業者で完結させることで、工程間の情報伝達ロスがなくなり、品質保証の責任が完全に統合されます。結果として、要求仕様がダイレクトに現場へ反映されるようになります。

②塗装工程を見据えた「シームレスな溶接・下地処理」

微小な隙間やピンホールからの湿気侵入を防ぐためには、塗装の技術だけでなく、その前段階である「溶接(下地)」の品質が極めて重要です。
塗装担当者が塗りやすい(=塗料が均一に乗る)滑らかな表面状態を溶接段階から作り出し、隙間を完全に塞ぐ高品質な溶接を行うことで、塗装の内側から進行する腐食リスクに対して根本から対策することができます。

③複雑な立体形状に対応する「緻密な塗装計画」

装置フレームのような複雑な立体形状は、スプレー塗装時に死角ができやすく、塗り残しや塗料のタレによる弱点が生まれやすくなります。
これらを防ぐためには、単に塗料を吹き付けるのではなく、
形状を熟知した上で「どの角度からどう塗るか」「環境に合わせた防錆プライマーをどう組み合わせるか」といった緻密な計画が不可欠です。
弱点を作らない均一な膜厚管理が、フレーム全体の防錆力を決定づけます。

当社が行う防錆対策を徹底した製缶加工

これらの課題を解決する最も有効な手段が、「切断・曲げ・溶接から塗装までの一貫対応」です。弊社(株式会社アガツマ)では、自社内で加工から塗装まで完結する体制を整えており、以下のような専門的な工夫と職人技で高品質な装置フレームを提供しています。

ポイント①:設置環境に合わせた、柔軟な「防錆プライマー+膜厚対応」

サビに対してシビアな洗浄装置・除湿装置向けには、徹底した防錆処理を行います。

  • 専用プライマーの活用
  • 焼付塗装の場合でも、サビ対策が必須な環境向けには、強力な防錆プライマー(下塗り)を施した上で仕上げ塗装を行います。
  • 職人技による均一な膜厚
  • 複雑な形状の機械フレームにおいて、「塗料のタレ」は外観不良だけでなく防錆力低下の致命傷になります。
    弊社の熟練職人は、「一発で決めようとせず、スプレーの霧の出し方を緻密に調整し、濃淡が出ないよう均一に塗布する」技術を持っています。
  • 膜厚指定・二度塗り対応
  • 使用環境に応じた柔軟な膜厚指定や、仕上げの二度塗りに対応。塗装後には厳重な検査を行い、塗り忘れやムラがないことを徹底しています。

焼付塗装のメリットや下地処理について、詳しくはこちらのコラムで解説しています。

ポイント②:強固な防錆層を根本から支える「塗装を見据えた溶接技術」

高品質な塗装は、高品質な溶接(下地)の上に成り立ちます。弊社では、強度と美観(見た目)を両立させる溶接を行っています。
溶接技術が高いため、過度なサンダー仕上げ(グラインダーでの削り落とし)を必要としません。
これにより、母材を薄くすることなく、均一で滑らかな塗装面を作り出すことができます。

製缶溶接の基礎知識や、品質を左右するポイントについて、詳しくはこちらのコラムで解説しています。

ポイント③:「切断・曲げ・溶接・塗装」の全工程前チェックによる不具合ゼロ化

分業の最大の壁である「工程間の情報分断」がありません。設計・加工・塗装のすべての工程前に厳しいチェックを行うことで、不具合を未然に防ぎます。
例えば、塗装担当者が作業に入る前に溶接の微小な抜け落ちに気づき、すぐに加工部門へフィードバックして修正するといった連携が日常的に行われています。
また、母材の段階から状態を把握しているため、わずかな表面状態の違いを見極め、
塗装前にパテを入れるなどの最適な下地処理を臨機応変に施すことが可能です。

塗装までの一貫対応による製作実績をご紹介

装置フレーム部品
装置フレーム部品

本製品は、レーザー加工による精密な切断、そして確実な溶接組み立てを経て、高品質な焼付塗装で仕上げています。

本製品は装置の外部に露出する「外観部品」となるため、特に塗装の品質に留意して製作を行っています。熟練技術者の手により、溶接時に発生しやすい「熱歪み」を極限まで抑え込むことで、装置の一部として寸分の狂いもない高い寸法精度を維持。その後の焼付塗装工程では、塗膜のムラや液だれのない美しい外観に仕上げ、お客様の元へお届けする際の梱包まで細心の注意を払い、丁寧に対応しています。

SUS304製 取水口スクリーン
取水口スクリーン

こちらは過酷な海洋環境の水中へと設置される、大型の「取水口 スクリーン」の事例です。海洋設備の骨格や構造をガードするための重要部品です。

本製品は、チャンネルやアングルを用いた強固な骨組み(フレーム)の確実な溶接組み立てから、自社工場での特殊防錆塗装までを一貫対応で仕上げています。

常に海水にさらされる最もシビアな防錆基準をクリアするため、電解仕上げを施したSUS304の母材へ、海洋向けの重防錆塗装を厚く重ね塗る仕上げを行っています。

装置フレーム・機械フレームの製作はお任せください

洗浄装置・除湿装置をはじめ、サビ対策に敏感な機械フレームの製作において、
「加工」と「塗装」を別々に依頼することは、品質リスクと管理コストの増大を招きます。
設計・板金加工・溶接から、防錆を極めた塗装まで。
ワンストップで任せられる「千葉・房総 製缶板金加工.com(株式会社アガツマ)」にぜひご相談ください。
お客様の装置が置かれる過酷な環境を理解し、長寿命と高品質をお約束する装置フレームをご提供いたします。