基礎知識
板巻き加工とは?用途や製造工程をご紹介!
板巻き加工とは?
板巻き加工とは、鋼板を円筒形や円錐形、角丸形状などに曲げる塑性加工の一種です。主に、ベンディングロールという板金設備を用い、板材をロール間に通して圧力を加えながら徐々に曲率を与えていくことで、目的の形状へと成形します。この加工方法は、特にタンクや圧力容器、プラント設備、大型のダクトといった、継ぎ目のない滑らかな円筒形状が求められる製品の製造において不可欠な基盤技術です。
板巻き加工の原理は、ロールの配置と加圧力の調整によって成り立っています。最も一般的な3本ロール式のベンディングロールの場合、上部に1本、下部に2本のロールが配置されており、下部ロールの間隔と上部ロールの押し込み量を調整することで、板材の曲率半径を精密にコントロールします。板材はロールの回転によって送られながら、連続的に曲げられていくため、全長にわたって均一な曲面を得ることが可能です。
類似する加工方法として、プレスブレーキによるR曲げがあります。プレスブレーキは、金型を用いて板材を少しずつ多角形に近い形で曲げていく「線」での加工であるのに対し、板巻き加工はロールによって滑らかな曲面を形成する「面」での加工です。そのため、真円度の高い円筒や大径の製品、長尺物の加工においては、一般的に板巻き加工が優位性を持ちます。材質は、鉄やステンレスをはじめ、アルミや特殊鋼など、様々な金属に対応可能ですが、材質の特性や板厚に応じて、ロールの選定や加圧力、送り速度などを最適化する高度な技術と経験が求められます。
板巻き加工の用途
板巻き加工は、その汎用性の高さから、社会インフラを支える大規模な構造物から、工場で稼働する精密な産業機械の部品に至るまで、極めて多岐にわたる分野で活用されています。加工された円筒や円錐、角筒などの部材は、多くの場合、他の部品と溶接・組立される製缶加工、塗装による仕上げを経て最終製品となります。ここでは、板巻き加工が用いられる代表的な用途例をいくつかご紹介します。
タンク・容器類
板巻き加工の最も代表的な用途が、液体や気体、粉体を貯蔵・輸送するための容器類です。身近なものではドラム缶、その他にも化学プラントで用いられる各種反応タンクや貯蔵タンク、食品・薬品工場で衛生管理が求められるステンレスタンク、穀物やセメントを貯蔵するサイロ、そして内部に高い圧力がかかる圧力容器やボイラーの胴体などが挙げられます。これらの製品は、内容物の漏洩を防ぐために溶接部の品質が極めて重要であり、その前提となる滑らかで精度の高い曲面を作り出す板巻き加工は不可欠です。
産業機械・プラント設備の構成部品
製造業の工場で稼動する様々な機械や設備にも、板巻き加工技術が活かされています。例えば、材料を投入するためのホッパーやシュート、炉などの高温設備を保護する耐火物カバー、製品を搬送するコンベアのケーシング、集塵機や換気装置のダクト、各種装置のフレームや架台などがこれに該当します。特に、ホッパーのように円形から角形へ形状が変化する複雑な部品においても、板巻き加工を応用した高度な技術が求められます。
建設機械・その他構造物
油圧ショベルのアームやバケット、クレーン車のブームの一部といった建設機械の部品にも、高い強度が要求される円筒部品として板巻き加工が用いられています。その他、煙突や橋梁の橋脚の一部など、土木・建築分野における大型の構造物にも、この技術は広く応用されています。
板巻き加工の工程を徹底解説!
①切断
まず、展開図に基づいて原寸大の鋼板を切り出す「切断」工程から始まります。切断方法には、鋼板を挟んで切断するシャーリング加工や、レーザー切断、プラズマ切断など多様な種類が存在します。当社では、製品に求められる精度や材質、板厚などを総合的に判断し、最適な切断方法を選択することで、後工程の作業効率と製品の品質を高めています。
②板巻き加工
切断された鋼板は、いよいよ加工の核となるベンディングロールと呼称される機械に送られ、円筒形状へと曲げられていきます。3本または4本のロールの間に鋼板を通し、回転させながら圧力を加えることで、徐々に曲率を与えていきます。材質の硬さや板厚によって曲がり方が異なるため、均一で滑らかな曲面を得るためには、ロールの圧力や送り速度を微調整する熟練技術者の経験と感覚が不可欠です。
③溶接
円筒状に成形された鋼板は、端面同士を繋ぎ合わせるために「溶接」工程へと移ります。製品の用途や強度に応じて、TIG溶接や半自動溶接といった最適な手法を選択し、強固に接合します。溶接は、その熱影響によって製品に「歪み」を発生させる可能性があるため、品質を左右する最も重要な工程の一つです。歪みを最小限に抑えるための溶接手順や条件設定には、高度な技術と知識が求められます。溶接後は、必要に応じて溶接部を滑らかにする仕上げ作業も行います。
④塗装
溶接・組立が完了した製品は、お客様の要求仕様に基づき「塗装」が施されます。塗装は、製品に美しい外観を与えるだけでなく、錆や腐食から素材を保護し、耐久性を大幅に向上させるという重要な役割を担っています。当社では塗装設備も社内に完備しているため、製品完成までをワンストップで管理し、お客様の納期短縮、コスト削減に貢献します。
製缶加工の板巻き加工を行う当社の特徴
長年にわたり、様々な業界のお客様の課題に向き合ってきたからこそ、お客様の抱える課題を解決に導くための独自の強みがあります。
設計・製缶板金加工から塗装までの一貫対応
当社は2m以下の製缶板金加工から最大6mの大型製缶板金加工を、設計から切断、曲げ加工、溶接、塗装まで一貫して対応できる体制を整えております。大型サイズの製缶板金加工において、特に豊富な実績と技術力を誇ります。過去には、4m×4mや、W5m×L10mといった大型サイズの製品も手掛けており、お客様のご要望に沿った多様な製品の製造が可能です。パイプ、ドラム缶、耐火物カバーなど、様々な板巻き加工が可能です。多様な製品を手掛けた経験に基づき、お客様のニーズに応じた柔軟な提案と製造が可能です。
図面がない製品も製作可能
当社では手書きの図面やポンチ絵からの製造も承っております。 これまでにも手書きの図面や現物からの再製作について多くのご相談をいただき、皆様のご要望にお応えしてまいりました。 仕様の調整や製品の最適化を含めた設計サポートを通じて、お客様が求める最良の製品づくりをお手伝いします。また、3D CADを活用した精密設計により、複雑な形状や特殊な仕様にも対応可能です。詳細な図面を基に、高精度かつ効率的な製造を実現いたします。 設計段階では、コストや加工の可否を十分に検討しながら、無駄のない最適な設計提案を行います。このように、設計力を活かした付加価値の提供を通じて、お客様のニーズにお応えします。
当社ならではの短納期対応
当社は設計から製造、溶接、塗装まで一貫して対応できる体制を整えております。各工程に熟練した技術者を配置し、最適なプロセスを経て高品質な製品を提供することで、お客様の多様なニーズにお応えしています。また、外注に依存せず、当社で全工程を対応可能です。この一貫対応により、工程間の無駄を排除し、短納期対応を実現しております。また、地域密着型の営業体制も強みです。千葉・房総エリアに根ざした地域密着型の営業体制で、即日見積もり回答や迅速なレスポンスを実現し、特に納期重視のお客様から多くの信頼をいただいています。
板巻き塗装での製品事例をご紹介!
ドラム缶

本製品は、スクラップを収納するドラム缶です。レーザー切断、ロール曲げ、溶接、塗装を行っています。材質はSS400で、意匠性と耐久性に優れたの焼付塗装が施されています。焼付塗装により、製品に高い意匠性を付与しています。また、焼付塗装による強固な塗膜が、水や洗剤の浸食から部品を保護し、長期にわたる耐久性を実現します。
耐火物用カバー

本製品は、耐火物にかぶせて用いるカバーです。
レーザー加工機にて切断したのち、ロールベンダーにて曲げ加工を行い溶接、仕上げを行っております。
外観品質にこだわり、溶接部のサンダー仕上げを特に注意して行っております。
製缶品の板巻き加工のことなら千葉・房総 製缶板金加工.comにお任せください
板巻き加工は、製品の耐久性、耐候性、耐薬品性、そして美観を飛躍的に向上させるために不可欠な技術です。適切な塗料の種類を選び、正確な工程と素材ごとの注意点を理解し、ニーズに合った業者を選ぶことが重要となります。
「千葉・房総 製缶板金加工.com」を運営する株式会社アガツマでは、大型製缶品の設計から切断、曲げ加工、溶接、塗装まで、お客様の多様なニーズに応える技術力と対応力を兼ね備えています。板巻き加工に関するご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。