基礎知識
制御盤・キャビネットの設計・製作について。製作工程の流れと大型筐体ならではの注意点を解説!
制御盤・キャビネットの設計・製作について
産業機器や製造ラインを支える心臓部とも言えるのが制御盤です。この制御盤や各種機器を収める箱、すなわち「キャビネット(筐体)」の設計・製作は、単なる入れ物作りではありません。遮断器(ブレーカー)や開閉器などの配電機器をはじめ、CPUユニットや入出力ユニットといった極めて精密な制御機器を過酷な外部環境から保護し、設備の安定稼働を支える重要な役割を担っています。
制御盤・キャビネットが担う3つの主要な役割
精密機器の環境保護
工場内のオイルミストや粉塵、屋外での降雨、海沿いの塩害など、機器の故障原因となる要素を遮断します。温泉地などの特殊環境では、腐食性ガスへの対策も不可欠です。
安全性と防護性能の確保
作業者が充電部に触れて感電することを防ぐとともに、外部からの異物や小動物の侵入による短絡事故(ショート)を防止します。電気を安全に使用するための物理的境界線としての役割です。
効率的な収納とメンテナンス性
複雑な配線や多種多様なユニットを整理し、限られたスペースへ機能的に配置します。これにより、万が一のトラブル発生時にも迅速なメンテナンスが可能となります。
設置環境に合わせた設計基準と性能
筐体設計において指標となるのが、JISやIECで規定される「IP(保護等級)」です。屋外仕様であればIP55やIP65といった高い防塵・防水性が求められます。また、内部機器が発生する熱を逃がすための放熱設計、塩害対策のための塗装仕様、地震に備えた耐震強度など、設置場所に応じた最適な仕様選定が重要です。 特に、株式会社アガツマが強みとする大型の製罐板金においては、筐体自体の重量や設置時の安定性を考慮した、圧倒的な「構造剛性」の確保が不可欠となります。
制御盤・キャビネットができるまで|一般的な製作工程の流れ
制御盤やキャビネットの製作は、図面上の設計思想を具体的な形にするため、複数の専門工程を経て進められます。各工程での精度が最終的な筐体の品質や、内部機器の組み込みやすさに大きく影響するため、一貫した管理が求められます。ここでは、受注から完成までの主要なプロセスを解説します。
設計・板金展開
製作の第一歩は、お客様から提供された仕様書や電気設計図に基づき、筐体の構造設計を行うことから始まります。
まずは、CADを用いて3次元モデルや2次元図面を作成し、強度計算や放熱経路、内部機器の配置を確認します。その後、「展開」と呼ばれる作業を行い、立体的な筐体を平面の板金部品へと分解します。この際、板の厚みや曲げによる伸びを正確に計算に入れなければ、最終的な組み立て時に寸法誤差が生じるため、設計者の経験と精密な計算が不可欠です。
ブランク加工・曲げ加工
設計データに基づき、平らな鋼板から必要な形状を切り出し、折り曲げていく工程です。
「ブランク加工」では、レーザー加工機やタレットパンチプレス(タレパン)を使用し、外形カットや配線用の穴あけ、放熱用のルーバー加工などを行います。切り出された部品は、次に「曲げ加工(ベンダー加工)」へと進みます。プレスブレーキを用いて、設計通りの角度と寸法で曲げを施します。特に大型の筐体では、長い辺を均一に曲げるために高度な機械設備と技術者の技能が求められます。
溶接・構造組立
板金部品を溶接によって接合し、立体的な筐体へと組み上げる工程です。
主にTIG溶接や半自動溶接が用いられ、隙間のない強固な接合を行います。溶接は熱による「歪み」が発生しやすいため、大型の制御盤であればあるほど、歪みを最小限に抑えるための適切な溶接順序や固定方法の選定が重要です。溶接後は、接合部を滑らかに仕上げる研磨加工を行い、塗装前の下地を丁寧に整えます。
塗装・仕上げ
筐体の耐食性を高め、美観を整えるための最終工程です。
アガツマでは、3m四方の大型塗装ブースと2m×2m×3mの乾燥炉を自社内に完備しており、熟練の職人による「溶剤吹付塗装」に対応しています。溶剤塗装は色の再現性が高く、大型の筐体においてもムラのない美しく強固な塗膜を形成できるのが特徴です。自社内で塗装から焼付まで完結させることで、外注配送による傷のリスクを排除し、高品質な状態のまま短納期でお届けすることが可能です。最後にドアの組み込みや防水パッキンの貼り付け、ハンドル等の部品取り付けを行い、厳格な検査を経て完成となります。
制御盤・キャビネット製作における課題とポイント
制御盤やキャビネットのサイズが2m、3m、あるいはそれ以上の大型・特大サイズになると、標準サイズの筐体製作とは比較にならないほど難易度が高まります。調達担当者にとって、品質のバラつきや納期遅延、現場での据え付けトラブルは、多大な損失を招くリスクです。大型筐体の調達において、特に注意すべき3つの課題を解説します。
大型品特有の「歪み」と「精度維持」の難しさ
大型筐体を製作する上で最大の障壁となるのが、溶接時の熱による「歪み」です。
筐体が大型化するほど溶接箇所が増え、金属に加わる熱量も増大します。わずか数ミリの歪みであっても、大型キャビネットでは「扉の開閉不良」「防水パッキンの密着不足による浸水」「内部機器レールの波打ち」といった致命的な欠陥に直結します。これを防ぐには、大型定盤の上で正確に仮組みを行い、熱による挙動を計算に入れた溶接順序を組み立てる高度な熟練技能が不可欠です。
キャビネットと「架台(ベース)」の不適合リスク
大型制御盤は自重が非常に重いため、強固な「架台(チャンネルベース)」の設置が前提となります。ここで頻発するのが、筐体と架台の不適合トラブルです。
筐体と架台を別々の工程や業者で製作すると、現場で合わせた際にボルト穴が数ミリずれたり、水平精度が不十分で筐体が傾いたりすることがあります。現場での追加加工や手直しは、多大な工数とコストを発生させ、最悪の場合は工期を大幅に遅延させます。設計段階から両者を一体として精度管理することが、確実な据え付けを実現する唯一の手段です。
外注工程の多さによるリードタイムとコストの増大
大型筐体の製作には、製罐溶接だけでなく大型対応の塗装設備も必要ですが、これら全てを自社で保有する企業は限られています。
工程ごとに業者が分断されると、工場間を移動させるたびに大型トラックの運送費が発生し、傷や凹みのリスクも高まります。また、各工程での「待ち」が発生し、リードタイムが長期化するのも避けられません。調達担当者にとって複数業者の管理工数は重く、一貫対応できない体制は「コスト上昇」と「納期不安定化」というリスクに直結します。
アガツマだからこそ可能な制御盤・キャビネット製作
大型制御盤や特注キャビネットの製作において、多くの設備メーカー様や商社様が抱える「精度・納期・管理工数」の課題。株式会社アガツマは、これらを自社一貫体制と圧倒的な設備力で解決します。県外からも多くのご相談をいただく、当社の独自価値について詳しくご紹介いたします。
最大6mの超大型加工に対応する圧倒的なキャパシティ
当社最大の強みは、最大6mという特大サイズの製罐板金加工を設計から一貫して行える体制にあります。
一般的な板金加工会社では対応が困難なサイズであっても、当社ではこれまでに4m×4mや、W5m×L10mといった超大型製品の加工を成功させてきた豊富な実績があります。大型になればなるほど顕著になる「自重による歪み」や「溶接時の熱影響」に対しても、大物加工に特化した技術とノウハウを蓄積しています。大型定盤の上で精密に仮組みを行い、各工程で厳格な精度管理を行うことで、制御盤に不可欠な高い寸法精度と構造剛性を実現しています。
筐体と「専用架台」のセット製作で現場トラブルを解消
調達担当者様を最も悩ませる「筐体と架台の不適合」というリスクを、当社は「セット製作」という形で払拭します。
アガツマでは、制御盤キャビネット本体の製作だけでなく、それを支える特注の架台(ベースフレーム)も同時に設計・製作することが可能です。同一の設計データに基づき、同一の工場内で製作・嵌合(かんごう)確認を行うため、現場で「ボルト穴が合わない」「水平が出ない」といったトラブルが発生する余地を排除します。この「筐体+架台」のワンストップ対応により、お客様の現場における据え付け工数を劇的に削減し、プロジェクト全体の円滑な進行に貢献いたします。
自社保有の大型塗装設備と乾燥炉による納期・品質管理
大型製品の塗装品質を担保するため、当社は3m四方の大型塗装ブースと、2m×2m×3mの乾燥炉を自社内に完備しています。
多くの加工会社が塗装工程を外部委託する中で、当社は自社内で熟練職人による「溶剤吹付塗装」から乾燥までを一貫して行います。これにより、外注先への往復輸送費をカットできるだけでなく、積み下ろし時に発生しがちな塗装面の傷や凹みのリスクを最小限に抑えることが可能です。また、塗装工程が自社内で完結するため、急な設計変更や短納期案件に対しても柔軟かつスピーディーな調整が可能となり、安定した納期遵守を実現しています。
大型品でも妥協しない外観品質と仕上げの美しさ
「大型だから仕上がりが荒くても仕方ない」という常識を、当社の技術は覆します。
当社は大型製罐品であっても外観品質を徹底的に追求しており、電解研磨をはじめとする精密な仕上げ加工にも対応しています。精密機器を収める制御盤や、人目に触れる場所に設置されるキャビネットにおいて、美観は製品全体の信頼感を左右する重要な要素です。歪みのない平滑な面、美しく整えられた溶接ビード、そしてムラのない塗装仕上げ。これら「機能性と美観の両立」こそが、多くのお客様から継続して選ばれ続けている理由の一つです。
制御盤・キャビネットの製作・架台のご相談なら、株式会社アガツマへ
本記事では、制御盤・キャビネットの基礎知識から製作工程、そして大型筐体ならではの調達課題と解決策について解説してきました。
大型の制御盤やキャビネットは、単に「大きい箱」を作れば良いというものではありません。内部の精密機器を守る保護性能、現場での据え付けを円滑にする寸法精度、そして長期使用に耐えうる堅牢な塗装品質。これらすべてが高い次元で融合して初めて、設備全体の信頼性が担保されます。しかし、これらの要素を大型サイズで、かつ一貫して提供できるメーカーは決して多くありません。
アガツマは、最大6mクラスの大型製缶板金に特化した技術集団です。 設計からブランク・曲げ加工、熟練の溶接、そして自社大型設備による溶剤吹付塗装まで。全ての工程を社内で完結させることで、外注コストの削減と徹底した納期・品質管理を実現しています。特に、筐体本体と「特注架台」をセットで製作・検証できる体制は、多くの調達担当者様から「現場での手直しが不要になり、管理工数が大幅に減った」と厚い信頼をいただいております。
「大型の筐体を探しているが、精度が心配だ」「塗装まで一括で任せられる業者が見つからない」「現場での設置トラブルを未然に防ぎたい」――。 このようなお悩みを抱えている設備メーカー様、商社様は、ぜひ一度アガツマへご相談ください。県外からも選ばれる当社のワンストップ対応力と、大型品でも妥協しない「外観・精密仕上げ」の技術で、貴社のプロジェクトを強力にバックアップいたします。
図面段階からのVE提案(コストダウン提案)も承っております。大型製罐板金・キャビネット製作に関することなら、どのようなことでもお気軽にお問い合わせください。
